日本海護謨大学セミナー

Seminar

第1回 ゴムって何だろう

1.ゴムの定義

 あなたの、身の周りを見てください。ゴムは、どんなところに使われていますか?もし、この世にゴムがなかったら、我々の生活、産業は、どのようになっていたでしょうか。ゴムが、文明を支えてきたのです。しかし、その評価は、不当に低いと思いませんか?それは、ゴムという物質が、本質的に得体の知れないものに、属しているからかも知れません。
ゴムってなんでしょう。

 

(1)日本工業規格(JlS)の定義

次のような性質を持っているか、または、与えることのできる高分子物質をいう。

  1. 室温において小さい応力で相当に大きい変形を起こし、その変形から急速にほとんど元の形までもどること。
  2. 熱及び中篇の圧力を加えることにより、恒久的な形に再成形することが容易にできないこと。
    (備考 この用語は、ゴムから製造される製品にも使われる。)

 

 

(2)広辞苑(岩波書店)

  1. ゴム植物が分泌した乳液(ラテックス)を凝固させて製した生ゴムを主原料とし、これに亜鉛華、炭酸マグネシュウム、カーボンブラックなどを加え、硫黄または塩化硫黄を作用させて作ったもの。弾性に富む。
  2. 植物の分泌物から得られる無定形物質の一種。高分子多糖類からなる。

 

(3)その他

  1. ゴムは、いつも魅力ある世にも不思議な化学物質として、多くの科学者や技術者の心を捕らえてきた。このゴムの化学は、今後いかに進歩した世の中になっても、その不思議さを持ち続けて、我々を当惑させるような陰謀を企てることを中止しないだろう。
    Chemistry of Naturaland Synthetic Rubber (Fisher)
  2. ゴムは、人間が地球と接触するところにあるものである。
  3. ゴムは、弾性をもった高分子である。

 

2.高分子物質

(1)物質は原子からできている。

 紀元前の哲学者は、物質は水、空気、火、土の4元素からできており、これら4つの元素の微小部分が、愛と僧しみという力によって、機械的に混合または、分離されるために万物が生ずると考えていた。20世紀にはいり、物質は陽子、電子、中性子から,構成される原子からできていることがわかるようになった。そして、その数は現在わかっているだけで103個あり、それぞれ固有の重さ(原子量)をもっている,原子は単体で存在するものもあるが、多くは、同一あるいは他の原子と結び付き(化合)存在している。これを分子といい、その重さを分子量という。

 

(2)ゴムは高分子物質である。

 昔から、我々の身の周りに木材、綿(セルロース)、羊毛、皮革(タンパク質)、ゴム、デンプンなど、いわゆる低分子化合物(例えば水、アルコール)とは著しく性質の違った一群の物質が存在することが知られていた。20世紀初頭、『Fisher、Staudinger』らの科学者仁より、高分子の存在が、科学的に証明された。その後、カローザスによるナイロン、ネオプレンの発明(合成)により高分子合成が急速に発達し、今では各種プラスチックを初め、いろいろなものが石油を原料として、合成されている。我々の生活は、天然、合成高分子によって支えられていると言っても言い過きではない。
ゴムは合成高分子化学発達の始まりであり、今なお、重要な物質、産業である。

 

(3)ゴムは、液体か、固体か。

 原料ゴムは、一般に弾性をもって固形物の形をしている。熱をかければ軟化するが、はっきりとした融点をもっていない、というよりは室温の状態が既に溶けている形であると言って良い。ゴムは一見固体であるがその性質は液体の性質に近い。
 ゴムだけでなく、ガラス、コンクリートなども同様である。液体に近いと入っても、ゴムは弾性をもっているので、加工して製品を作るには、その性質を変えなければならない。変形(塑性)し易くすることが可塑化(素練り、薬品混合)であり、硫黄を加えて熱により化学反応を起こさせて、弾性を復活させることが、加硫である。