1.ゴムの定義
あなたの、身の周りを見てください。ゴムは、どんなところに使われていますか?もし、この世にゴムがなかったら、我々の生活、産業は、どのようになっていたでしょうか。ゴムが、文明を支えてきたのです。しかし、その評価は、不当に低いと思いませんか?それは、ゴムという物質が、本質的に得体の知れないものに、属しているからかも知れません。 ゴムってなんでしょう。
(1)日本工業規格(JlS)の定義
次のような性質を持っているか、または、与えることのできる高分子物質をいう。
(2)広辞苑(岩波書店)
(3)その他
2.高分子物質
(1)物質は原子からできている。
紀元前の哲学者は、物質は水、空気、火、土の4元素からできており、これら4つの元素の微小部分が、愛と僧しみという力によって、機械的に混合または、分離されるために万物が生ずると考えていた。20世紀にはいり、物質は陽子、電子、中性子から,構成される原子からできていることがわかるようになった。そして、その数は現在わかっているだけで103個あり、それぞれ固有の重さ(原子量)をもっている,原子は単体で存在するものもあるが、多くは、同一あるいは他の原子と結び付き(化合)存在している。これを分子といい、その重さを分子量という。
(2)ゴムは高分子物質である。
昔から、我々の身の周りに木材、綿(セルロース)、羊毛、皮革(タンパク質)、ゴム、デンプンなど、いわゆる低分子化合物(例えば水、アルコール)とは著しく性質の違った一群の物質が存在することが知られていた。20世紀初頭、『Fisher、Staudinger』らの科学者仁より、高分子の存在が、科学的に証明された。その後、カローザスによるナイロン、ネオプレンの発明(合成)により高分子合成が急速に発達し、今では各種プラスチックを初め、いろいろなものが石油を原料として、合成されている。我々の生活は、天然、合成高分子によって支えられていると言っても言い過きではない。 ゴムは合成高分子化学発達の始まりであり、今なお、重要な物質、産業である。
(3)ゴムは、液体か、固体か。
原料ゴムは、一般に弾性をもって固形物の形をしている。熱をかければ軟化するが、はっきりとした融点をもっていない、というよりは室温の状態が既に溶けている形であると言って良い。ゴムは一見固体であるがその性質は液体の性質に近い。 ゴムだけでなく、ガラス、コンクリートなども同様である。液体に近いと入っても、ゴムは弾性をもっているので、加工して製品を作るには、その性質を変えなければならない。変形(塑性)し易くすることが可塑化(素練り、薬品混合)であり、硫黄を加えて熱により化学反応を起こさせて、弾性を復活させることが、加硫である。